中学生のスマホのフィルタリングは、法律で「使うことが前提」とされていて、初めてのスマホでは有効にしたまま始めるのがおすすめです。ただし、保護者が申し出れば外すこともでき、学年や使い方に合わせてゆるめることもできます。大切なのは、外すかどうかの二択ではなく、何に困っているかを確かめて、必要なところだけ調整することです。
この記事では、青少年インターネット環境整備法で決まっていること、フィルタリングのしくみと効く範囲、外す・ゆるめる前に確かめたい判断の基準を、法律と公的機関・携帯電話会社の公式の案内をもとに紹介します。
法律で決まっていること
結論から言うと、18歳未満が使うスマホには、携帯電話会社がフィルタリングを用意することが法律で決まっています。正式な名前は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」で、この法律での「青少年」は18歳に満たない人です。
| 法律の条文 | 決まっていること | 保護者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 第6条 | 保護者は、子どもの発達段階に応じて、インターネットの利用を適切に管理するよう努める | 家庭での見守りも求められている |
| 第13条 | 携帯電話会社と販売店は、契約する人や使う人が18歳未満かを確かめる | 子どもが使うなら、契約のときに伝える |
| 第14条 | 携帯電話会社と販売店は、フィルタリングの必要性と内容を説明する | わからないことはその場で聞ける |
| 第15条 | 18歳未満が使う場合、フィルタリングの利用を条件に回線を提供する | 保護者が申し出れば外せる |
| 第16条 | 販売する端末で、フィルタリングを有効にする | 保護者が希望しなければ、有効にしない選択もできる |
出典:e-Gov法令検索「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」。表は条文の内容を、保護者向けにやさしい言葉に言いかえてまとめたものです。
携帯電話会社が年齢を確かめる
第13条では、携帯電話会社と販売店は、契約しようとする人が18歳未満かどうかを確かめることになっています。親の名義で契約する場合も、使う人が18歳未満かどうかを確かめます。子どもが使うことを伝えないと、フィルタリングの説明や設定が行われないまま渡されてしまうことがあります。
説明と有効化はお店の役目
第14条と第16条で、フィルタリングの説明と、販売する端末でフィルタリングを有効にする作業は、携帯電話会社と販売店の役目とされています。2018年2月の法改正で、この有効化の作業が加わりました。お店で手続きするときは、「有効にした状態で渡してください」と伝え、その場で設定を一緒に確かめるとよいでしょう。
保護者が申し出れば、外すこともできる
第15条と第16条には、保護者がフィルタリングを利用しない、または有効化を希望しないと申し出た場合は、この限りではないと書かれています。つまり、法律は「必ずつけなければいけない」ではなく、「つけることを前提に、外すかどうかは保護者が判断する」形になっています。
フィルタリングのしくみと効く範囲
フィルタリングは、子どもに見せたくないサイトやアプリを制限するサービスです。ただ、1つのフィルタリングで全部を守れるわけではありません。どこまで効くのかを知っておきましょう。

制限のしかたは2つの方式がある
総務省は、フィルタリングの方式として次の2つを紹介しています。
| 方式 | しくみ | 向いている時期 |
|---|---|---|
| ホワイトリスト方式 | 子どもに合うと判断されたサイトだけを見られる。それ以外は制限 | 初めてスマホを持つ小学生など |
| ブラックリスト方式 | 多くのサイトを見られるが、子どもに有害と判断されたサイトは制限 | 中学生・高校生 |
出典:総務省「フィルタリング(有害サイトアクセス制限サービス)をご存じですか?」。向いている時期の列は、考え方の例です。
携帯電話会社のフィルタリングは学齢で選べる
大手の携帯電話会社のフィルタリングでは、子どもの学齢を選ぶと、それに合った制限の強さが設定される形が多くなっています。たとえばNTTドコモの「あんしんフィルター for docomo」では、2026年10月時点の公式ページで、学齢を「小学生」「中学生」「高校生」「高校生プラス」から選ぶと、おすすめの制限レベルが設定されると説明されています。月額料金は無料と案内されています。
出典:NTTドコモ「あんしんフィルター for docomo」
ほかの携帯電話会社や、格安スマホの会社でも、フィルタリングの提供は法律で決まっています。名前や設定の方法は会社ごとに違うので、契約している会社の公式ページで確かめてください。
iPhoneではアプリの制限はOSの機能で
総務省の案内では、iPhoneやiPadでは、フィルタリングアプリで制御できるのは基本的にWebへの接続で、アプリの制御はAppleのスクリーンタイムなどの機能を使うと説明されています。また、Androidの一部の機種では、OSの機能やGoogleのファミリー リンクが必要になるとも書かれています。Webとアプリの両方に設定することが基本です。
出典:総務省「上手にネットと付き合おう!」スマホの設定、うまく使いこなせていますか?
家のWi-Fiにつないだときも確かめる
スマホは、携帯電話の回線だけでなく、家や外のWi-Fiでもインターネットにつながります。総務省は、回線でしか効かないフィルタリングだけでは十分ではなく、アプリの制限などの設定が必要だと案内しています。家のWi-Fiにつないだ状態で、制限したいサイトが本当に開けないかを一度試しておくと安心です。
外す・ゆるめる前に確かめたい判断の基準
中学生になると、「調べ学習で開けないサイトがある」「友だちが使っているアプリが入れられない」といった理由で、フィルタリングを外したいと言われることがあります。外す前に、次の順番で考えてみましょう。

何に困っているかを具体的に聞く
「フィルタリングが邪魔」という言葉だけでは、どこを直せばよいかわかりません。どのサイト、どのアプリで、何をしたいときに困ったのかを具体的に聞きます。困っていることが1つか2つなら、フィルタリングを外さなくても解決できることが多いです。
外すのではなく、個別に許可できないか
携帯電話会社のフィルタリングや、スクリーンタイム・ファミリー リンクでは、保護者が適切と考えるサイトやアプリを個別に許可できます。まずは個別の許可や、学齢の段階を1つ上げるといった「ゆるめる」方法で足りないかを確かめます。
判断の目安
外すかゆるめるかを決めるときの目安の一例です。
| 子どもの様子 | おすすめの対応 |
|---|---|
| 困っているのは特定のサイト・アプリだけ | そのサイト・アプリだけ個別に許可する |
| 学年が上がり、調べ学習で困ることが増えた | 学齢の段階を1つ上げる |
| 家庭の約束をおおむね守れていて、困ったときに相談できている | 期間を決めて段階を上げ、様子を見る |
| 知らない人とのやり取りや課金で、最近トラブルがあった | いまは変えず、落ち着いてから話し合う |
上の表は、考え方を説明するための例です。最終的な判断は、子どもの様子を見て保護者が行ってください。
外す・ゆるめるときの手順
ゆるめると決めたら、次の順番で進めます。いきなり全部を外すより、段階を踏んだほうが、もし困ったことが起きても戻しやすくなります。
ステップ1 子どもと約束を決め直す
ゆるめる代わりに、子どもにも約束してもらうことを決めます。たとえば「知らない人から連絡が来たら話す」「課金するときは相談する」などです。紙に書いておくと、あとで見直すときに役立ちます。
ステップ2 期間を決めて試す
「次の定期テストまで」「1か月」のように期間を決めて、ゆるめた状態を試します。期間が終わったら、困ったことがなかったかを親子で振り返り、そのまま続けるか、元に戻すかを決めます。
ステップ3 携帯電話会社の手続きを確かめる
フィルタリングの学齢の変更は、保護者用の画面から行える場合が多く、フィルタリング自体を外すときは、携帯電話会社に保護者が申し出る手続きが必要になります。手続きのしかたや必要な書類は会社ごとに違うので、公式ページか窓口で確かめてください。
ステップ4 OSの見守り機能は残しておく
携帯電話会社のフィルタリングをゆるめても、スクリーンタイムやファミリー リンクの設定までまとめて外す必要はありません。夜の時間帯やアプリの入手の承認など、家庭の約束に関わる部分は残しておくと、変化が急になりすぎません。
すでに使っているスマホを点検する
子どもがすでにスマホを使っている場合は、いまフィルタリングがどうなっているかを一度確かめておきましょう。買ったときの設定のままになっていることもあります。
フィルタリングが有効かを確かめる
携帯電話会社のフィルタリングは、保護者用の画面やアプリで、いまの学齢の段階や許可しているサイト・アプリを確かめられることが多いです。子どもが中1のときに設定したまま中3になっている、といったずれがないかも見ておきます。わからないときは、契約している会社の窓口で「いまの設定を教えてください」と聞けば確かめられます。
おさがりの端末や、親の名義の回線は特に注意
親が使っていたスマホをおさがりで渡した場合や、親の名義の回線をそのまま子どもが使っている場合は、契約のときに使う人が18歳未満だと伝えていないことがあります。この場合、フィルタリングが用意されていない状態のこともあるので、携帯電話会社に使う人が変わったことを伝え、必要な設定を相談しましょう。
中学生と一緒に決めておきたいこと
フィルタリングは、子どもを守るための道具の1つです。設定と同じくらい、家庭での話し合いが大切です。
「外すまでの道すじ」を見せる
中3や高校生になったら外す、といった先の見通しを伝えておくと、子どもは「ずっと制限される」と感じにくくなります。そのためにどんなことができるようになればよいかを、一緒に言葉にしておきましょう。
困ったときに話せる関係を作る
フィルタリングをすり抜ける方法は、探せば見つかることもあります。だからこそ、困ったことが起きたときに子どもが親に話せることがいちばんの守りになります。「話してくれたら、スマホを取り上げたりはしない」と先に伝えておきましょう。
よくある質問
フィルタリングをつけないと法律違反になりますか
保護者がフィルタリングを利用しない旨を申し出た場合は、携帯電話会社はフィルタリングなしでサービスを提供できます。法律は、携帯電話会社に提供と説明を求め、保護者には子どもの利用を適切に管理するよう努めることを求めている、という形です。外すかどうかは、子どもの様子を見て判断してください。
中学生はどの段階に設定すればいいですか
学齢を選べるフィルタリングなら、まずは「中学生」の段階から始めるのが一般的です。困ることがあれば、個別の許可や段階の変更で調整します。
フィルタリングをつけると、LINEや学校のアプリが使えなくなりますか
フィルタリングの段階によっては、使えないアプリが出ることがあります。そのときは、そのアプリだけを個別に許可できるかを確かめましょう。学校から使うよう指示されたアプリは、学校の案内もあわせて確認してください。
格安スマホにもフィルタリングはありますか
法律の決まりは、格安スマホの会社にも当てはまります。提供しているフィルタリングの名前や内容は会社ごとに違うので、契約している会社の公式ページで確かめてください。
Wi-Fiだけで使うタブレットやゲーム機はどうすればいいですか
携帯電話の回線を使わない端末には、携帯電話会社のフィルタリングは関係しません。iPadならスクリーンタイム、Androidのタブレットならファミリー リンク、ゲーム機ならそれぞれの見守り機能を使って設定します。
フィルタリングを外したあと、また戻せますか
戻せます。携帯電話会社のフィルタリングは、あとから申し込んだり、段階を戻したりできます。外す前に、戻すときの手順も確かめておくと安心です。
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