中学数学の数研出版教科書「これからの数学」を徹底解説|特徴・難易度・使い方ガイド

中学数学の数研出版教科書「これからの数学」を徹底解説|特徴・難易度・使い方ガイド

中学数学の数研出版教科書は「これからの数学」です。数学的な見方・考え方をはたらかせながら、基礎基本の定着と思考力・表現力の育成を目指す文部科学省検定教科書として、全国の中学校で使用されています。本記事では、この教科書の特徴やページ構成、難易度の傾向、他社教科書や中高一貫校向け「体系数学」との違い、家庭学習での具体的な活用法まで、教材選びの参考になる情報を詳しく解説します。

数研出版の中学数学教科書「これからの数学」とは

「これからの数学」は、数研出版が発行する中学1〜3年生向けの文部科学省検定教科書です。1年生用・2年生用・3年生用の全3冊構成になっており、各学年で「数と式」「図形」「関数」「データの活用」の4領域を段階的に学習していきます。

教科書のコンセプトは「数学的な見方・考え方をはたらかせる」ことにあります。具体的には、①基礎・基本の定着、②数学的思考と説明力の育成、③学習の楽しさの実感という3つの柱を軸に紙面が構成されており、公式や解法を暗記するだけでなく、なぜその考え方が成り立つのかを説明できる力を養う設計になっています。

数研出版といえば、高校数学の定番参考書「チャート式」の発行元として知名度が高い出版社です。高校数学では圧倒的なシェアを誇る一方、中学数学の教科書市場ではまだ発展途上の位置づけであり、近年少しずつ採択校を増やしている段階にあります。中高一貫校では、検定教科書の「これからの数学」とは別に、先取り学習向けの検定外教科書「体系数学」を採用しているケースも多く見られます。

そもそも「検定教科書」とは、文部科学省の検定を経て発行が認められた教科書のことで、全国の公立中学校では原則としてこの検定教科書の中から採択されたものが使われます。「これからの数学」もその一つで、どの中学校で使われても、学習指導要領に沿った同じ範囲の内容を学べる点は共通しています。出版社による違いは、主に紙面のレイアウトや説明の丁寧さ、ICTコンテンツの充実度、問題の配列といった「学びやすさ」の部分に現れます。

「これからの数学」の3つの特徴|QRコンテンツ・動画解説・デジタル対応

「これからの数学」最大の特徴は、紙の教科書とデジタルコンテンツを連携させたICT対応です。各ページにQRコードが印刷されており、スマートフォンやタブレットで読み取ると、学習内容に関連した解説動画や補助教材にすぐアクセスできます。授業中だけでなく、家庭学習で「もう一度説明を聞きたい」という場面でも活用しやすい仕組みです。

  • QRコンテンツ:各ページのQRコードから、学習内容に関連した動画やデジタル教材にアクセスでき、個別最適な学びを後押しします。
  • 全例題の動画解説:教科書に掲載されている例題ほぼすべてに解説動画が用意されており、授業を欠席した際の補習や、家庭でのつまずき解消に役立ちます。
  • デジタル教科書:Windows・iPad・Chromebookに対応したデジタル教科書が学校向けに提供されており、紙とデジタルを併用した学習が可能です。

さらに、教科書に対応した副教材も充実しています。数研出版からは「スタンダード問題集」「スパイラルアップ 中学数学」「STEP演習 中学数学」といった、教科書の進度に合わせて使える問題集が刊行されており、学校の傍用問題集として、あるいは家庭学習の教材として選ぶことができます。教科書だけでは演習量が足りないと感じる場合は、こうした準拠問題集を1冊組み合わせるのがおすすめです。

難易度の傾向|他社教科書・体系数学との比較

「これからの数学」の難易度は標準的で、基礎問題から応用問題まで段階的に学べる構成です。極端に易しい、あるいは難しいということはなく、公立中学校で無理なく使えるレベルに設計されています。

中学数学の教科書は全国7社から発行されており、採択シェアは1位が啓林館(約4割弱)、2位が東京書籍(約3割)で、この2社だけで市場の約7割を占めています。数研出版は学校図書と並ぶ第3グループに位置し、公開されていない数値もあるため正確な順位は不明ですが、高校数学の「チャート式」で培った信頼感を背景に、中学数学でも採択校を徐々に増やしている段階です。

あわせて知っておきたいのが、中高一貫校で使われることが多い検定外教科書「体系数学」です。体系数学は数研出版が発行していますが、文部科学省検定を受けていない教科書で、中高6年間を見通した先取り学習を前提に作られているため、「これからの数学」よりも進度が速く、難易度もやや高めになる傾向があります。同じ数研出版でも、検定教科書と検定外教科書では性格が大きく異なる点に注意が必要です。

教科書名発行社採択の中心難易度の傾向
未来へひろがる数学啓林館公立中学校(シェア1位)標準(独学しやすい丁寧な解説)
新しい数学東京書籍公立中学校(シェア2位)標準
これからの数学数研出版公立中学校(第3グループ)標準
体系数学数研出版(検定外)中高一貫校標準〜やや高め・進度が速い

公立高校を目指す場合、中学の教科書がどこの出版社であっても入試対策そのものに大きな不利は生じません。ただし、高校進学後に数研出版の「チャート式」を使う可能性が高い生徒にとっては、中学の段階から「これからの数学」で解説のトーンや数式の書き方に慣れておくと、高校数学への接続がスムーズになりやすいという側面もあります。教材選び自体は保護者が主体的に決められるものではありませんが、通っている(あるいは進学予定の)中学校がどの教科書を採用しているかを事前に確認しておくと、問題集選びの参考になります。

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学年別の学習内容と単元構成

グレーのTシャツを着て本を読む男子生徒
Photo by Jessica Lewis 🦋 thepaintedsquare on Unsplash

「これからの数学」は中1〜中3の3学年構成で、数と式・図形・関数・データの活用という4つの領域を、学年が上がるごとに難度を上げながら体系的に学びます。学年ごとの単元の流れを知っておくと、お子さまが今どの段階でつまずいているのかを把握しやすくなります。

  • 中学1年:正の数と負の数/文字と式/1次方程式/比例と反比例/平面図形/空間図形/データの活用
  • 中学2年:式の計算/連立方程式/1次関数/図形の性質と合同の証明/確率
  • 中学3年:式の展開と因数分解/平方根/2次方程式/関数y=ax²/相似な図形/円/三平方の定理/標本調査

学年が上がるほど、方程式は文字数や次数が増えて複雑になり、図形の学習は「答えを求める」段階から「なぜそうなるかを証明する」段階へと発展します。関数も、1年生の比例・反比例から、2年生の1次関数、3年生の関数y=ax²(放物線)へと段階的にレベルアップしていく流れです。この積み上げ構造を理解しておくと、どの学年の復習が必要かを判断しやすくなります。

家庭学習での活用法|保護者ができる3つのサポート

家庭学習では、教科書の例題を軸にした「予習→授業→復習」のサイクルを保護者がサポートすることが効果的です。教科書は本来、授業で先生が使うだけでなく、家庭での自学自習にも十分対応できる作りになっています。

  1. ステップ1:予習(5〜10分)次の授業範囲の例題に目を通し、新しく出てくる公式・定義を確認しておきます。全部を理解する必要はなく、「何が新しく出てくるか」を把握するだけで授業の理解度が変わります。
  2. ステップ2:授業学校の授業では、QRコンテンツや動画解説も活用しながら理解を深めます。わからない点はその場でメモしておき、家庭学習の復習につなげます。
  3. ステップ3:復習(当日〜翌日中)教科書の練習問題を解き直し、間違えた問題は該当ページに戻って解法を確認します。復習は学習した当日から翌日以内に行うと定着率が高まります。

保護者が数学の内容を教える必要はありません。むしろ「今日はどこを勉強したの?」「教科書のどの例題が難しかった?」と声をかけ、教科書を開く習慣づくりをサポートするだけでも効果があります。定期テスト前は、教科書準拠の問題集を1冊仕上げることを目標に、1日15〜20分でも机に向かう時間を確保すると学習リズムが安定します。

定期テスト対策としては、テスト範囲が発表されたタイミングで教科書の該当章をもう一度通して読み、例題を自力で解き直すことから始めるのがおすすめです。教科書の例題は定期テストの土台になっていることが多く、例題と類似問題を確実に解けるようにするだけでも、平均点前後までは得点を積み上げやすくなります。QRコンテンツの動画解説は、通学の隙間時間やテスト前の総復習にも活用しやすい教材です。

つまずきやすい単元と対策

中学数学でとくにつまずきやすいのは、2年生の「1次関数」と図形の「証明問題」です。この2つは出版社を問わず多くの中学生がつまずくポイントとして知られており、「これからの数学」でも例外ではありません。

1次関数では、1年生で学んだ比例・反比例に加えて「傾き」「変化の割合」「切片」といった新しい用語が一気に増えるため、理解が追いつかなくなりがちです。特に、変域をグラフに正しく反映させることと、文章題の内容を式に変換すること(例:分速や料金プランを表す式を立てる)の2点でつまずくケースが目立ちます。対策としては、グラフを実際に自分の手で描く練習を繰り返し、身近な事例(移動時間と距離、料金プランなど)を使って式を立てる練習を積むことが効果的です。

図形の証明問題では、とくに合同の証明でつまずく生徒が多く見られます。正確な証明が書けるようになるには反復練習が欠かせません。対策としては、いきなり証明を書き始めるのではなく、先に「方針」を立ててから、根拠となる条件を1つずつ言葉にして書き出す練習が有効です。教科書に載っている証明の例題を書き写し、仮定と結論を色分けして整理する方法もおすすめです。

いずれの単元も、つまずいた場合は同じ学年の範囲だけを復習するのではなく、前の学年の基礎に戻って確認することが重要です。中学数学は学年をまたいで内容が積み上がっていくため、土台となる単元の理解が抜けていると、次の学年でつまずきが連鎖しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

数研出版の中学数学教科書は難しいですか?

「これからの数学」の難易度は標準的です。基礎問題から応用問題まで段階的に配列されており、シェア上位の啓林館・東京書籍の教科書と比べて極端に易しい、または難しいということはありません。ただし中高一貫校向けの検定外教科書「体系数学」は進度が速く、やや難易度が高い傾向があります。

数研出版の教科書を採用している中学校はどのくらいありますか?

全国の中学数学教科書の採択シェアは、1位が啓林館(約4割弱)、2位が東京書籍(約3割)で、数研出版は学校図書と並ぶ第3グループに位置します。高校数学の「チャート式」で高いシェアを持つ数研出版ですが、中学数学では採択校を近年少しずつ増やしている段階です。

「これからの数学」と「体系数学」はどう違いますか?

「これからの数学」は文部科学省検定済みの一般的な中学校用教科書で、公立中学校を中心に使用されます。一方「体系数学」は検定外教科書で、中高6年間を見通した先取り学習向けに作られており、主に中高一貫校で採用されています。同じ数研出版でも用途が異なる別の教科書です。

家庭学習ではどの問題集を使えばよいですか?

「これからの数学」に対応した副教材として、数研出版から「スタンダード問題集」「STEP演習 中学数学」などが刊行されています。教科書準拠の問題集を選ぶと、授業の進度に合わせて無理なく復習できるためおすすめです。

デジタル教科書は保護者も見られますか?

デジタル教科書は基本的に学校などの教育機関向けに提供されており、Windows・iPad・Chromebookに対応しています。個人の保護者が単体で閲覧・購入できるかどうかは提供形態によって異なるため、詳細は学校またはお子さまが使用している教科書の版元に確認することをおすすめします。

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