中学数学の教科書ガイドは、使い方しだいで「分かるまでの近道」にも「答えを写すだけの本」にもなります。この記事では、教科書ガイドと教科書そのものを組み合わせた勉強の手順を、毎日の授業の予習・復習から、定期テストの何日前に何をするかの日程表まで具体的にまとめました。例題を使った解説の読み方や、つまずき方に合わせた使い分けも紹介します。
教科書ガイドとは?ワークや問題集との違い
教科書ガイドは、学校で使っている教科書の内容に合わせて作られた解説書です。出版社ごと・学年ごとに分かれていて、自分の教科書の例題や問題が、そのままの順番で解説されています。
教科書ガイドに載っていること
教科書ガイドには、教科書の例題・練習問題・章末問題について、答えだけでなく途中の式や考え方が載っています。教科書には問題の答えがくわしく書かれていないことも多いので、家で復習するときに「自分の解き方が合っているか」「どこで間違えたか」を確かめる道具になります。
準拠ワーク・学校のワークとの違い
名前が似ている教材がいくつかあるので、役割の違いを整理しておきます。
| 教材 | 中身 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 教科書ガイド | 教科書の問題の解き方と答えの解説 | 授業で分からなかったところの確認、予習・復習 |
| 教科書準拠の問題集(ワーク) | 教科書の単元の順番にそった練習問題 | 理解した内容を、問題数をこなして定着させる |
| 学校で配られるワーク | 学校が副教材として選んだ練習問題 | 提出物として、また定期テストの範囲の演習として使う |
| 教科書準拠ではない問題集 | どの教科書でも使える単元別・レベル別の問題 | 教科書が解けるようになったあとの入試に向けた演習 |
つまり、教科書ガイドは「解き方を理解するための本」、ワークや問題集は「練習するための本」です。ガイドだけを読んでいても、手を動かして解く練習をしなければ点数にはつながりません。
まず教科書そのものの作りを知る
教科書ガイドを上手に使うには、先に教科書の作りを知っておくことが大切です。中学数学の教科書は、出版社が違ってもおおむね次の部分でできていて、部分ごとに使い方が違います。
導入・説明のページ
新しい考え方や公式の意味が書かれているページです。「なぜこの公式になるのか」が書かれているので、公式だけを覚えるのではなく、ここを一度声に出して読むと理解が深まります。授業で先生が黒板に書いた説明は、たいていこのページと対応しています。
例題
その単元の典型的な解き方の型が、途中の式つきで示されています。定期テストの基本問題は、教科書の例題と同じ型で解けるものが多いので、例題は「読んで分かる」ではなく「何も見ずに解ける」状態をめざします。
練習問題・章末問題
練習問題は、例題と同じ型を自分で使えるか確かめる問題です。章末問題は、その章の内容をまとめて確かめる問題で、いくつかの解き方を組み合わせる問題も含まれます。「発展」の印がついた内容は、学習指導要領の範囲をこえる内容なので、授業やテストで扱うかどうかを先生の説明で確認しましょう。
教科書ガイドの正しい使い方3ステップ
教科書ガイドでいちばん多い失敗は、最初から解説を読んでしまうことです。読むと分かった気になりますが、自分で解ける力はつきません。次の3ステップの順番を守ってください。
ステップ1:先に教科書の問題を自力で解く
教科書ガイドは閉じたまま、教科書の例題や練習問題に取り組みます。途中で手が止まったら、そこに印をつけておきます。どこで止まったかが分かることが、このステップのいちばんの収穫です。数分考えても進まない場合は、次のステップに移ってかまいません。
ステップ2:止まったところだけ「なぜ」に注目して読む
ガイドを開き、自分が止まった行の前後だけを読みます。式がどう変わったかだけでなく、「なぜその変形をするのか」「どの性質や公式を使ったのか」を確かめます。読んだら、その理由を自分の言葉で一言メモしておくと、次に同じ問題に出会ったときに思い出しやすくなります。
ステップ3:ガイドを閉じて、最初から解き直す
理由が分かったら、ガイドを閉じて、問題を最初から白紙に解き直します。途中から再開するのではなく、最初から解くのがポイントです。最後まで自分で解けたら、その問題はひとまず合格です。解けなければステップ2に戻ります。
例題でやってみる:解説の読み方
中1で学ぶ一次方程式を例に、ステップ2で何を読めばよいかを見てみましょう。
問題:2(x − 3) = x + 4 を解きなさい。
- かっこをはずす:2(x − 3) は 2x − 6 になります。理由は分配法則で、2 を x と −3 の両方にかけるからです。ここで −6 を −3 と書いてしまう間違いが多いので注意します。
- 移項する:2x − 6 = x + 4 の x を左辺へ、−6 を右辺へ移します。移項すると符号が変わるので、2x − x = 4 + 6 になります。
- 計算する:x = 10 です。
- 確かめる:x = 10 を元の式に入れると、左辺は 2 × (10 − 3) = 14、右辺は 10 + 4 = 14 で等しくなるので正しいと分かります。
ガイドの解説が「2x − 6 = x + 4」から始まっていても、自分のメモには「分配法則で両方にかける」「移項で符号が変わる」と理由を書いておきます。ステップ3では数字を変えた問題、たとえば 3(x + 2) = x + 12(答えは x = 3)も解いてみると、本当に解き方が身についたかを確かめられます。
毎日の授業に合わせた使い方
教科書ガイドは、テスト前だけでなく、ふだんの授業と組み合わせると効果が大きくなります。毎日長い時間をかける必要はありません。
| タイミング | 教科書でやること | 教科書ガイドの使い方 |
|---|---|---|
| 授業の前日(予習) | 次の授業の説明ページと例題を読む | 例題の説明で分からない言葉があれば確認し、疑問を1つメモしておく |
| 授業中 | 先生の説明と例題を照らし合わせる | 使わない。メモした疑問が解決したかを確かめる |
| 授業の当日か翌日(復習) | 例題を何も見ずに解き、練習問題を解く | 止まった問題だけ3ステップで確認する |
| 週末 | その週に印をつけた問題を解き直す | また止まったら、理由のメモとガイドを見比べる |
予習が苦手な場合は、復習だけでもかまいません。「授業のあった日に例題を自分で解く」ことを続けるだけで、テスト前に慌てることが減ります。
定期テストまでの日程表:何日前に何をするか
定期テストの範囲が発表されたら、次の表を目安に進めましょう。部活などで時間が取りにくい場合も、順番だけは守るのがコツです。
| 時期 | 教科書でやること | 教科書ガイド・ワークでやること |
|---|---|---|
| 3週間前 | テスト範囲の例題を全部、何も見ずに解く | 解けなかった例題だけガイドで確認し、印をつける |
| 2週間前 | 練習問題を解く | 学校のワークを1回目として最後まで解き、間違えた問題に印をつける |
| 10日前 | 章末問題を解く | 章末問題で止まったところをガイドで確認する |
| 1週間前 | 印のついた例題・練習問題を解き直す | ワークの印のついた問題を2回目として解き直す |
| 3日前 | 章末問題をもう一度解く | まだ解けない問題だけを集めて、3ステップでやり直す |
| 前日 | 例題をざっと見直し、公式や用語を確認する | 新しい問題には手を出さず、印のついた問題を見直す |
| テスト返却後 | 間違えた問題が教科書のどの例題の型かを調べる | ガイドで解き方を確認し、数日後にもう一度解く |
3週間前〜10日前は「解けない問題を見つける」期間
この時期の目的は、点数を取ることではなく、自分が解けない問題を洗い出すことです。印をつけた問題が多くても気にしなくて大丈夫です。むしろ、この時期に見つけておけば、残りの日数で直せます。ワークの提出がある学校では、2週間前までに1回目を終えておくと、あとが楽になります。
1週間前〜3日前は「印を減らす」期間
新しい問題を増やすより、印のついた問題を解けるようにすることを優先します。解き直して解けた問題は印を消し、解けなかった問題には印を足していきます。テスト前日に印がほとんど残っていなければ、テスト範囲の基本はおおむね身についています。
返却後のやり直しが次のテストにつながる
テストが返ってきたら、間違えた問題を教科書の例題と結びつけます。「この問題は教科書のどの例題の型か」が分かれば、次に何を練習すればよいかがはっきりします。数学は前の単元が次の単元の土台になるので、ここで直しておくことが次のテストの準備になります。
教科書ガイドの選び方とつまずき別の使い分け
買う前に確認すること
- 使っている教科書の出版社と学年に対応しているか(教科書の表紙や最後のページで出版社名を確認する)
- 例題だけでなく、練習問題や章末問題まで解説があるか
- 答えだけでなく、途中の式と考え方が1行ずつ書かれているか
- 関数や図形の単元で、図やグラフを使った説明があるか
使っている教科書の出版社が分からない場合や、出版社ごとの違いを知りたい場合は、中学数学の教科書を出版社別に比較した記事で調べ方と各出版社の解説をまとめています。教科書準拠の問題集を一緒に選ぶなら、教科書準拠の問題集の選び方も参考になります。
こういう子にはこの使い方
| お子さんの様子 | おすすめの使い方 |
|---|---|
| 授業の説明がそもそも分からない | 授業の前日に、ガイドで次の例題の説明だけ読んでおく。教科書の説明ページを読んでも分からないときは、NHK for School や eboard の映像授業で同じ単元を見る |
| ガイドを見ると分かるが、テストでは解けない | ステップ3の「閉じて最初から解き直す」が抜けている可能性が高い。解き直しを数日あけてもう1回入れる |
| ガイドの答えを写してしまう | ガイドは保護者が預かり、印のついた問題のページだけ渡す。写すより先に自分で解く順番を習慣にする |
| 教科書の問題はほぼ解ける | ガイドは答え合わせだけに使い、章末問題や「発展」、教科書準拠ではない問題集に時間を回す |
| 前の学年の内容が抜けている | 今の単元のガイドを読み込むより、つまずいている前の学年の単元に戻って基本問題から解き直す |
分野ごとの勉強の進め方は、中学生の数学の勉強法の記事でくわしく紹介しています。
よくある質問
教科書ガイドを使うと、自分で考える力が育たないのでは?
最初から解説を読む使い方だと、そうなりやすいです。先に自分で解く、止まったところだけ読む、閉じて最初から解き直す、という順番を守れば、考える時間をしっかり取ったうえで解き方を確かめられます。ガイドは「答えを知る本」ではなく「解き方の道筋を確かめる本」と考えてください。
教科書ガイドと問題集は、どちらを先に買えばよいですか?
授業の内容が分からない、教科書の問題で止まることが多い場合は、教科書ガイドが先です。教科書の例題と練習問題がおおむね自分で解けている場合は、ガイドよりも練習量を増やせる問題集を優先したほうが点数につながりやすくなります。
教科書ガイドはどこで買えますか?
書店の学習参考書の売り場や、通販で買えます。探すときは「出版社名」「学年」「数学」の3つをそろえて確認してください。店頭にない場合は、書店で取り寄せを頼めることもあります。
学校のワークの答えがないときは、ガイドで代わりになりますか?
教科書ガイドが解説しているのは教科書の問題なので、学校のワークの答えの代わりにはなりません。ただ、ワークの問題の多くは教科書の例題と同じ型なので、ワークで止まった問題を「教科書のどの例題の型か」探し、その例題をガイドで確認すると解き方の手がかりになります。
ガイドで解き方を確かめたら、数字を変えた問題でも解けるかを試すのが仕上げです。マナモンはLINEで使う中学生向けの学習アプリで、単元を選んで問題を解き、答えと途中の考え方の解説をその場で確認できるので、ステップ3の解き直しにも使えます。紙で練習したい場合は、解答解説つきの無料の練習プリントもどうぞ。

