学研の「中学数学をひとつひとつわかりやすく」は、数学が苦手な中学生の最初の1冊としてよく選ばれている参考書シリーズです。この記事では、シリーズの構成と特徴、向いている人・向いていない人の見分け方、そして学年別・期間別の学習計画を表で具体的にまとめました。買う前の判断から、買ったあとの進め方までこの1本で分かります。
「ひとつひとつわかりやすく」シリーズの構成
中学数学のシリーズは、中1・中2・中3の学年別に分かれています。それぞれの学年で習う教科書の内容を、基礎からていねいに説明する構成です。数学以外の教科にも同じシリーズがあり、「難しくない・分かる・続けられる」ことを大切にした作りになっています。各学年で扱う主な単元は、学校の授業とほぼ同じ順番です。
| 学年 | 主な単元 | つまずきやすいポイント |
|---|---|---|
| 中1 | 正負の数、文字式、一次方程式、比例と反比例、平面図形・空間図形、データの活用 | 負の数の計算、文字式のきまり、方程式の移項 |
| 中2 | 式の計算、連立方程式、一次関数、図形の性質と証明、確率、箱ひげ図 | 一次関数のグラフと式、証明の書き方 |
| 中3 | 展開と因数分解、平方根、二次方程式、関数y=ax²、相似、円、三平方の定理、標本調査 | 因数分解、二次方程式の解き方の使い分け |
見開き2ページで1単元が完結する
いちばんの特徴は、1つの単元が見開き2ページで終わることです。左のページに説明・イラスト・例題、右のページに練習問題という決まった並びなので、「次に何をすればいいか」で迷いません。1回分の区切りがはっきりしているため、短い時間でも勉強を始めやすい作りです。
書き込み式で手を動かしながら覚えられる
右ページの練習問題は、本に直接書き込む形式です。説明を読んだ直後に自分で答えを書くので、「読んで分かった気になる→実際には解けない」という失敗を防げます。解答は別冊になっていて、答え合わせもしやすくなっています。
学年別なので、つまずいた所から始められる
中1・中2・中3がそれぞれ1冊ずつなので、必要な学年の分だけ用意できます。中3でも中1の内容があやしいなら、中1の版から始めて問題ありません。数学は前の学年の内容を使って次を学ぶ教科なので、つまずいた学年までさかのぼるのがいちばんの近道です。
向いている人・向いていない人
この本は基礎を理解することに重点を置いているので、合う人と合わない人がはっきり分かれます。下の表で、自分がどちらに近いか確かめてください。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 授業についていけない、基礎から分からない | 定期テストで高得点が安定していて、基礎はもう固まっている |
| 教科書を読んでも意味が分からない | 難関校の受験に向けて、応用・発展の問題を解きたい |
| 参考書を一人で進める自信がない | 問題をたくさん解いて演習量を増やしたい |
| 1回の勉強時間が短く、少しずつ進めたい | 説明がていねいすぎて、テンポが遅く感じる |
| 前の学年の内容を学び直したい(大人の学び直しにも) | 入試対策をこの1冊だけで済ませたい |
迷ったときの判断の流れ
- 今の学年の教科書の例題を、解説を見ずに解けるか。解けないなら、この本が合う可能性が高い
- 苦手なのが今の学年だけか、前の学年からか。前の学年からなら、その学年の版から始める
- 書店で苦手単元の見開きを開き、左ページの説明だけで右ページの問題が解けそうか試す。解けそうなら買ってよいサイン
- 右ページの問題が簡単すぎると感じたら、この本は飛ばして、より問題の多い本(チャート式など)を選ぶ
効果を出す使い方の基本
1回分は「読む→書く→丸付け→印」の4ステップ
1回の勉強は、1見開き(1単元)が基本です。左ページの説明と例題を読み、右ページの問題を解き、すぐに別冊で丸付けをします。間違えた問題には印をつけておきます。1見開きなら20〜30分ほどで終わるので、毎日の習慣にしやすい分量です。読むだけで終わらせず、必ず書き込んでから次へ進みましょう。
2周目は別のノートに解く
書き込み式なので、1周目で答えを書き込むと2周目が使いにくくなります。2周目以降は別のノートやルーズリーフに解きましょう。1周目を鉛筆で書いて、あとで消せるようにしておく方法もあります。2周目は全部を解き直すより、1周目で印をつけた問題だけに絞るほうが効率的です。
翌日と1週間後に解き直す
間違えた問題は、翌日にもう一度解きます。同じ日に解き直すと、答えを覚えているだけで解けてしまうからです。翌日に解けたら、さらに1週間後にもう一度確かめましょう。たとえば中1の一次方程式 3x − 5 = 2x + 4 なら、「2x を左辺へ、−5 を右辺へ移項して 3x − 2x = 4 + 5、x = 9」と、手順を声に出しながら解けるかを確認すると、理解できているかがよく分かります。
保護者がサポートするときのポイント
保護者の方が関わる場合は、内容を教えるより「続ける仕組み」を手伝うのがおすすめです。たとえば、勉強する時間帯を毎日同じにする、終わった見開きにチェックをつけて進み具合が目に見えるようにする、といった工夫です。間違えた問題が多い日も責めずに、「印をつけた問題を明日もう一度やってみよう」と解き直しにつなげる声かけをすると、本人が自分で進めやすくなります。
学年別の学習計画
同じ本でも、学年や目的によって使う時期と進め方が変わります。代表的な使い方を表にまとめました。
| 学年・目的 | 使う版 | 進め方 |
|---|---|---|
| 中1・中2:授業についていく | 今の学年の版 | 授業の前日に次の単元の左ページを読み、授業の後に右ページを解く |
| 中2:中1の内容が不安 | 中1の版 | 苦手な単元だけを選び、1日1見開きで学び直す |
| 中3:受験に向けて基礎を総復習 | 中1・中2の版 | 春から夏休みにかけて、中1→中2の順に通して見直す |
| 中3:今の授業の理解を固める | 中3の版 | 授業の進度に合わせて、習った単元を確認する |
中1・中2:授業と並行して使う
授業の前日に、次に習う単元の左ページを10〜15分読んでおくと、授業が分かりやすくなります。授業のあとは、その単元の右ページの問題を解いて確認します。定期テストの2週間前には、テスト範囲の単元の右ページをもう一度解き、印のついた問題を重点的に見直しましょう。
中2:中1の苦手を取り戻す
中2の連立方程式や一次関数でつまずく人は、中1の方程式や比例・反比例があやしいことがよくあります。その場合は、中2の授業を進めながら、中1の版の該当する単元だけを1日1見開きで学び直しましょう。週末にまとめて2〜3見開き進めるのも一つの方法です。中1の土台が戻ると、中2の単元の説明が急に分かりやすくなります。
中3:受験前の総復習に使う
中3は、春から夏休みにかけて中1・中2の版で総復習をするのがおすすめです。中1の内容を先に終え、次に中2の内容、特に一次関数や確率など入試でよく出る単元を重点的に見直します。中3の内容は授業に合わせて中3の版で確認し、夏以降はチャート式などの問題の多い本や、過去問の演習に移りましょう。この本だけで入試の応用問題まで対応するのは難しいので、移るタイミングを決めておくことが大切です。
期間別の学習計画
使える期間が決まっている場合は、「終わらせたい見開きの数÷使える日数」で1日の量を決めます。表の目安を参考に、自分の予定に合わせて調整してください。
| 使える期間 | 1日の量の目安 | やる範囲 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 定期テストまで2週間 | 1日2見開き | テスト範囲の単元だけ | 最後の3日は印のついた問題の解き直しにあてる |
| 夏休みなどの長期休み | 1日2〜3見開き | 前の学年の1冊を通しで | 週に1日は解き直しだけの日をつくる |
| 2〜3か月 | 1日1見開き | 今の学年の1冊を通しで | 苦手単元は2〜3回くり返す前提で余裕をもたせる |
| 毎日15分しか取れない | 左ページと右ページを2日に分ける | 苦手な単元から順に | 1日目に読み、2日目に解いて丸付けする |
計画どおりに進まないときの立て直し方
予定より遅れたときは、全部を終わらせようとせず、苦手な単元とテスト範囲を優先して残りを後回しにします。反対に、どの見開きもすらすら解けるなら、その学年の基礎はできているので、次の本へ早めに進んでかまいません。計画は1週間ごとに見直し、「今週は何見開き進んだか」「印のついた問題は何問残っているか」を確かめて、翌週の1日の量を決め直すと無理なく続けられます。
1冊を終えたあとに進む本
「ひとつひとつわかりやすく」は基礎の理解に特化した本なので、1冊を終えたら目的に合わせて次の本へ進みましょう。
| 次に使う本 | こんな人に | 移るタイミング |
|---|---|---|
| チャート式中学数学(数研出版) | 演習量を増やし、標準レベルに進みたい | 1冊を終え、印のついた問題も解けるようになったら |
| くわしい数学(文英堂) | 授業の内容をもっと深く理解したい | 並行して使うか、1冊を終えたあと |
| やさしくまるごと中学数学(学研) | 中3で3年分を通して見直したい | 中3の夏休み前後 |
次に使う問題集をレベル別に比べたい人は中学数学の問題集おすすめ7選を、ほかの参考書も見比べたい人は中学数学の参考書おすすめ8選を参考にしてください。印刷して解ける練習問題がほしいときは、マナモンが配布している中学数学プリントまとめ(中1〜中3の全21章・解答解説つきのPDF)も使えます。
よくある質問
今の学年より前の版から始めてもいいですか?
はい、つまずきが前の学年にあるなら、むしろその版から始めるべきです。中3でも中1の内容が不安なら、中1の版から始めることをためらう必要はありません。全部を通さなくても、苦手な単元だけを選んで使えます。
この本だけで高校入試の対策はできますか?
基礎固めには向いていますが、入試の応用問題に対応するには足りません。基礎を固めたら、チャート式などの問題の多い本や、志望校の過去問に進みましょう。この本は「入試対策の土台をつくる1冊」と考えるのがよい使い方です。
チャート式とどちらを選べばいいですか?
数学が苦手なら「ひとつひとつわかりやすく」が先です。チャート式のほうが難しく、問題の量も多いからです。「ひとつひとつわかりやすく」を終えたら、チャート式の例題だけを1周する、という順番で進むとスムーズに移れます。
問題が少ないと感じたらどうすればいいですか?
練習問題の数は多くないので、理解できた単元は、学校のワークや問題集で同じ単元の問題を追加で解きましょう。この本で「分かる」状態をつくり、ほかの問題で「解ける」状態にする、という役割分担がおすすめです。
まとめ|基礎を固める最初の1冊として、計画を立てて使い切る
学研「中学数学をひとつひとつわかりやすく」は、見開きで1単元が完結し、書き込み式で手を動かしながら学べる、基礎固めのための参考書です。つまずいた学年の版を選び、学年や使える期間に合わせて1日の量を決め、間違えた問題は翌日と1週間後に解き直しましょう。1冊を終えたら、チャート式や過去問など問題の多い本へ移るのが、成績につなげる流れです。
この本で理解した単元の練習を増やしたいときは、マナモンも使えます。LINEで使う中学生向けの学習アプリで、中学の全範囲を単元ごとに選んで解き、答えと解説(途中の考え方の手順)をその場で確かめられます。

