中学数学の教科書を徹底比較|出版社別の特徴・難易度・選び方ガイド

中学数学の教科書を徹底比較|出版社別の特徴・難易度・選び方ガイド

中学数学の教科書は、東京書籍・啓林館・大日本図書など複数の出版社が発行していて、学校によって使っているものが違います。この記事では、出版社ごとに何が違って何が同じなのか、「難易度ランキング」や「偏差値との関係」をどう考えればよいか、自分の学校の教科書の調べ方までをまとめました。出版社ごとのくわしい解説記事への案内も、比較表からたどれるようにしています。

先に結論:教科書の違いは「範囲」ではなく「載せ方」

教科書を比べる前に、いちばん大事な前提を押さえておきましょう。ここを知っておくと、「うちの子の教科書は簡単すぎるのでは」「難しい教科書だから不利なのでは」という心配の多くは小さくなります。

習う内容の範囲はどの出版社でも同じ

学校で使う教科書は、文部科学省の検定に合格したものです。どの出版社の教科書も、国が定めた学習指導要領に沿って作られているので、中学3年間で学ぶ単元の範囲は同じです。たとえば、連立方程式は中2、平方根・二次方程式・三平方の定理・相似は中3で学ぶ、という学年の割り振りも共通です。

つまり、ある出版社の教科書だけが中3の内容を中2で教えている、ということはありません。高校入試(特に公立高校)の問題も、この学習指導要領の範囲から作られます。

違いが出るのは例題の数・発展の載せ方・構成

では、どこが違うのか。出版社ごとの差は、主に「同じ内容をどう載せているか」に表れます。具体的には次の表のような点です。

違いの観点どこに表れるか手元の教科書での確かめ方
例題の数と細かさ1つの単元で何段階に分けて例題を示しているか苦手な単元のページを開き、例題がいくつあるか数えてみる
練習問題の量例題のあとに続く問題の数、章末問題の量例題1つに対して練習問題が何問ついているか見る
発展的な内容の載せ方学習指導要領の範囲をこえる内容を「発展」などの印をつけて載せている部分ページの端や見出しにある「発展」の表示を探す
構成・説明の順番導入の場面設定、図やグラフの使い方、まとめページの位置単元の最初の数ページと、章の終わりのまとめページを読む
デジタル資料二次元コードから見られる動画や資料ページ内の二次元コードの有無と、つながる内容を確認する

「発展」の印がついた内容は、すべての生徒が必ず学ぶ範囲ではありません。授業で扱うか、定期テストに出すかは学校や先生によって変わります。

中学数学の教科書を出している出版社と個別解説

中学数学の教科書は、主に次の出版社が発行しています。出版社ごとの構成や使い方は、それぞれの解説記事でくわしくまとめています。お子さんが使っている教科書の記事から読んでみてください。

出版社教科書の名前くわしい解説
東京書籍新しい数学東京書籍の教科書の解説を読む
啓林館未来へひろがる数学啓林館の教科書の解説を読む
大日本図書数学の世界大日本図書の教科書の解説を読む
数研出版これからの数学数研出版の教科書の解説を読む
日本文教出版(表紙で確認)日本文教出版の教科書の解説を読む
学校図書(表紙で確認)学校図書の教科書の解説を読む
教育出版(表紙で確認)この記事の「教科書の使い方」の節を参考にしてください

個別記事で確認できること

出版社ごとの記事では、その教科書の章立ての特徴、例題や「発展」の扱い方、その教科書で勉強するときの進め方をまとめています。同じ単元でも、例題の出し方や説明の順番が違うと、つまずく場所も少しずつ変わります。使っている教科書が分かったら、まずはその記事を読んで、教科書の作りに慣れておくと授業の復習がしやすくなります。

出版社名だけで良し悪しを判断しない

表を見ると、つい「どれが一番いいの?」と考えたくなります。ただ、公立中学校では使う教科書を家庭が選ぶことはできません。大切なのは、使っている教科書の作りを知り、その教科書を最後まで使い切ることです。比較は「良し悪しを決めるため」ではなく、「自分の教科書の特徴をつかむため」に使ってください。

「教科書の難易度ランキング」を探している人へ

「中学数学 教科書 難易度ランキング」と検索すると、出版社に星をつけた表がたくさん見つかります。ここでは、そうした順位をどう受け止めればよいかを整理します。

公式な難易度ランキングは存在しない

文部科学省や出版社が、教科書の難易度を順位づけして公表しているわけではありません。どの教科書も同じ学習指導要領の範囲を扱っているため、「範囲の広さ」で順位がつくことはありません。ネット上の星の数やランキングは、書いた人の印象や、例題・発展の量を見たときの感じ方をもとにしたものと考えておくのが安全です。

ランキングが記事ごとに食い違う理由

実際、ランキングを並べてみると、ある記事では「やさしめ」とされている出版社が、別の記事では「やや難しい」とされていることがよくあります。これは、何を基準に「難しい」と感じるかが人によって違うからです。

  • 発展の内容が多いと「難しい」と感じる人もいれば、例題が少ないと「難しい」と感じる人もいる
  • 説明が短く簡潔な教科書を「レベルが高い」と見る人もいれば、「不親切」と見る人もいる
  • 教科書は一定の期間ごとに改訂されるので、古い版の印象のまま書かれていることがある

「難しい」と感じる本当の原因

お子さんが「教科書が難しい」と言うとき、原因は教科書の出版社よりも、次のようなところにあることがほとんどです。前の学年の内容に抜けがある、例題を自力で解けるようになる前に練習問題へ進んでいる、「発展」の問題まで全部解こうとして疲れている、などです。教科書の出版社は変えられませんが、これらは勉強の仕方で直せます。

教科書と偏差値の関係

「偏差値が高い学校に行きたいなら、難しい教科書のほうが有利なのでは」という疑問もよく聞きます。ここは誤解が多いところなので、順番に見ていきます。

偏差値は教科書ではなく模試の結果で決まる

偏差値は、模試を受けた集団の中で自分がどの位置にいるかを表す数字です。教科書そのものに偏差値はありませんし、「この出版社の教科書を使うと偏差値がいくつになる」という関係もありません。偏差値に影響するのは、教科書の内容をどれだけ自力で解けるようになったか、そしてその上でどれだけ入試形式の問題に慣れたか、です。

公立高校入試と教科書の範囲

公立高校の入試問題は、学習指導要領の範囲から作られます。そのため、どの出版社の教科書でも、例題・練習問題・章末問題を自力で解けるようになれば、入試の土台はできています。一方で、入試では複数の単元を組み合わせた問題や、問題文の長い問題が出ます。教科書だけでどこまで対応できるかは、教科書だけで高校受験に対応できるかを解説した記事でくわしくまとめています。

教科書の到達度別・次にやること

偏差値の数字より、「教科書のどこまで自力で解けるか」で今の段階を見たほうが、次にやることがはっきりします。

今の状態次にやること後回しにしてよいこと
例題を見ても解き方が思い出せない例題の解説を読み、解説を隠して自分で再現する。前の学年の関係する単元も確認する練習問題・章末問題・発展
例題は解けるが練習問題で止まる止まった問題を、どの例題の解き方で解くのか対応させてから解き直す発展・入試問題
練習問題まで解けるが章末問題で落とす章末問題を解き、間違えた問題を数日あけてもう一度解く難しい問題集
章末問題まで自力で解ける「発展」の内容や、教科書以外の問題集で入試形式の問題に慣れる特になし(解き直しは続ける)

自分の学校の教科書を調べる方法

個別記事を読んだり、教科書に合った問題集や教科書ガイドを買ったりするには、まず出版社を確かめる必要があります。調べ方は次のとおりです。

調べ方見る場所分かること
教科書そのものを見る表紙・裏表紙・最後のページ(奥付)出版社名、教科書の名前、学年
学校に聞く・配布物を見る学校のホームページ、年度初めのお知らせ、担任の先生その学校で使っている教科書の一覧
教育委員会の情報を見る住んでいる市区町村や都道府県の教育委員会のホームページ地域の公立中学校で採択された教科書

表紙・裏表紙・奥付で確かめる

いちばん確実なのは、教科書を手に取って見ることです。表紙や裏表紙には出版社名が入っていて、最後のページ(奥付)には出版社名と教科書の名前がまとめて書かれています。問題集や教科書ガイドを買うときは「出版社名」「学年」「教科書の名前」の3つをメモしておくと、書店でも通販でも探しやすくなります。

学校・教育委員会の採択情報で確かめる

公立中学校の教科書は、市区町村などの教育委員会が地域ごとに選んでいます(これを「採択」といいます)。採択の結果は、教育委員会のホームページで公表されていることが多いので、「市区町村名 教科書 採択」で検索すると見つけやすいです。国立・私立の中学校は学校ごとに選んでいるので、学校に確認しましょう。

転校や引っ越しで教科書が変わったとき

地域が変わると、使う教科書の出版社が変わることがあります。習う範囲は同じですが、単元の順番や例題の出し方が違うため、すでに習った内容が抜けたり、二重になったりすることがあります。対処法は転校で教科書が変わったときの記事にまとめているので、あわせて確認してください。

教科書に合わせた問題集・教科書ガイドの選び方

教科書は選べなくても、家庭で使う教材は選べます。教科書の特徴と、お子さんの今の状態に合わせて選ぶのがポイントです。

教科書準拠と、そうでない教材の違い

「教科書準拠」の問題集や教科書ガイドは、出版社ごとに作られていて、単元の順番や例題が教科書とそろっています。授業の進み方に合わせて使いやすいのが長所です。一方、教科書準拠ではない問題集は、どの教科書を使っていても同じように使え、入試に向けた演習に向いています。問題集を買うときは、表紙や商品説明に対応する出版社名が書かれているかを確かめましょう。

目的別の早見表

こんなとき向いている教材使い方のコツ
授業についていけない・教科書の説明が分からない教科書ガイド(使っている出版社のもの)先に自分で解いてから、止まったところだけ解説を読む
定期テストの点数を上げたい教科書準拠の問題集、学校のワーク教科書の章末問題とセットで、テスト範囲を2回以上解く
教科書は解けるので入試に備えたい教科書準拠ではない標準〜応用の問題集単元をまたぐ問題で、どの単元の知識を使うかを意識する
前の学年からつまずいている学年・単元別の基礎プリントつまずいた単元まで戻り、基本問題から解き直す

出版社に関係なく効く、教科書の使い方

どの出版社の教科書でも、使い方の基本は同じです。次の順番で進めると、教科書の作りの違いに左右されにくくなります。

  1. 例題の解説を読み、何をしているかを言葉で説明できるようにする
  2. 解説を隠して、例題を白紙に最初から自分で解く
  3. 練習問題を解き、止まったら対応する例題に戻る
  4. 章末問題を解き、間違えた問題に印をつける
  5. 印のついた問題を、数日あけてもう一度解く
  6. 余裕が出てきたら「発展」の内容に取り組む

特に大切なのは、2と5です。解説を読んで「分かった」と思っても、自分の手で最初から解けるとは限りません。また、1回解けた問題でも、日をあけると解き方を忘れていることがよくあります。教科書を使った勉強の手順や、教科書ガイドの使い方については、教科書ガイドの活用法の記事で定期テストまでの日程表つきでくわしく解説しています。

よくある質問

「発展」の内容は定期テストに出ますか?

学校や先生によって違います。「発展」は学習指導要領の範囲をこえる内容として区別されているので、授業で扱わないこともあれば、扱ってテストに出すこともあります。テスト範囲のお知らせに「発展」が入っているか、授業で解説されたかを確認し、分からなければ先生に聞くのが確実です。

ほかの学校の教科書のほうが簡単そうで不安です

習う範囲は同じなので、教科書の違いで入試の範囲が変わることはありません。例題が少ないと感じる場合は、教科書ガイドや基礎の問題集で例題の数を補えば十分です。逆に例題が多い教科書なら、それを全部自力で解けるようにすることが一番の対策になります。

塾や問題集が教科書と違う出版社でも大丈夫ですか?

大丈夫です。範囲は同じなので、出版社が違っても学ぶ内容は対応しています。ただし単元の順番が違うことがあるので、定期テスト前は学校の教科書とワークを中心にし、教科書と違う教材は「同じ単元の練習を増やす」目的で使うと混乱しにくくなります。

教科書を見ずに出版社だけ知りたいときは?

学校のホームページや年度初めの配布物、または市区町村の教育委員会が公表している採択結果で確認できます。見つからない場合は、学校に問い合わせれば教えてもらえます。

教科書の出版社が違っても、学ぶ単元は同じです。マナモンはLINEで使う中学生向けの学習アプリで、教科書の出版社に関係なく中学の単元を選んで練習でき、答えと途中の考え方の解説をその場で確認できます。紙で練習したいときは、中1〜中3の全21章をそろえた無料の練習プリントも使ってみてください。

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